1日4時間の離床が嚥下機能を守る
東京医科歯科大学の研究チームが2023年に発表した研究により、日常生活動作(ADL)が低下した高齢者において、ベッドから離れている時間(離床時間)が身体機能にどのような影響を与えるかが明らかになりました。
研究方法
対象者
在宅で医療的支援を受けている65歳以上の高齢者90名
測定項目
①離床時間 - 1日にベッドから離れている時間
②四肢骨格筋量指数(ASMI) - 腕と脚の筋肉量
手足の筋肉が保たれていることで、
・立ち上がり、移乗
・物を持つ、掴む といった日常生活の動作が安定します。
③体幹筋量指数(TMI) - 体幹の筋肉量
体幹が保たれることで、座位や姿勢が安定します。
④機能的経口摂取スケール(FOIS) - 飲み込み機能の評価
グループ分類
離床時間により3グループに分類:
- 4時間未満
- 4〜6時間
- 6時間以上
研究結果
- 4〜6時間の離床 :四肢骨格筋量と嚥下機能が保たれていました。
- 6時間以上の離床:四肢骨格筋量、嚥下機能に加えて体幹筋量も保たれていました。
なぜ離床が効くの?
- 座位保持や車椅子での活動が体幹・四肢の筋肉を刺激する。
- 会話や食事、呼吸動作が増え、嚥下に必要な全身の連動性が活性化する。
- 横になっている時間が減ることで覚醒度が上がり、飲み込みやすくなる。
日常生活への応用
急に長時間の離床を目指すのではなく、段階的に時間を延ばしていきましょう。
- まずは1日1時間からの離床から開始
- 食事は座位で、食後30分は姿勢を保つ。
- 短時間でも複数回に分けて離床、過度な疲労は逆効果。適度な休憩を挟みましょう。
まとめ
- 長く起きて過ごしている人ほど、日常動作に必要な筋力も飲み込む力も衰えにくいという関連が見られました。
- 4時間の離床で、立ち上がり、移乗、物を持つ、掴むといった日常生活の動作、嚥下機能が保たれていました
- 6時間の離床で、日常生活の動作、嚥下機能に加えて座位や姿勢が保たれていました。
- 特別な運動が難しい方でも、「ベッドから離れて過ごす習慣」を取り入れるだけで、筋力や飲み込む力の維持が期待できる。
参考文献
Ishii M, Nakagawa K, Yoshimi K, et al: Time Spent Away from Bed to Maintain Swallowing Function in Older Adults. Gerontology. 2023
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