1.4 セーラーおばあちゃんとの絆
「美香ちゃん、お気に入りのちくわパン買ってきたよ!」
「ありがとう、おばあちゃん」私は、ぽつんと答えた。
「美香ちゃん、元気ないわね。それ好きじゃなかった?」
「好きだよ。ありがとう。」
あのころ、5歳の私は、両親が突然亡くなって、沈んでいて。でも、ひとつだけの楽しみがあった。それは「美少女戦士セーラームーン」のDVDだった。
その夜も、お気に入りのセーラームーンを見ていたら、おばあちゃんが風呂敷をマントにして部屋に入ってきて、
「美香ちゃん、おばあちゃん、セーラームーンになりたいの。」
「本当に?おばあちゃんもセーラームーンが好きなの?」
「うん、でもセーラームーンよりもセーラーおばあちゃんがいいわね。」
「それなら、私はセーラームーン!おばあちゃんはセーラーおばあちゃんで、悪者と戦おう!」私は興奮して言った。
「じゃあ、悪者は誰?」っておばあちゃんが言うので、私は部屋のクマのぬいぐるみを指差して、
「このクマだよ!」って、笑いながら言った。
「美香ちゃん、それなら、わたし達でその悪者をやっつけるわ!」
「うん。おばあちゃん一緒に戦おう!気をつけて、近づいてくる。」
「美香ちゃん、変身しよう!」
「ムーン・プリズムパワー、メイクアップ!
愛と正義のセーラー服美少女戦士、セーラームーン!
月に代わって、おしおきよ!」
私はリボンを取り出して変身ポーズをした。
おばあちゃんは、ゆっくりと腕を大きく回し始める。最後に交差して
「変身!」
「すごい!おばあちゃん、その変身かっこいい!」
2人でぬいぐるみに向かって進んで行った。
おばあちゃんはパンチを繰り出している。
「ムーン・スパイラル・ハート・アタック」私は回転して叫んだ。そして、
「セーラームーン・キック」
おばあちゃんが「ライダーキック!」と叫ぶも足が上がらない。
クマを見ると。じっとこっちを見ている。
「やられた。」おばあちゃんがうずくまった。
「大丈夫?!おばあちゃん。」
「美香ちゃん、セーラーおばあちゃんは大丈夫、でも足を痛めて攻撃が出来ない。代わりにやっつけて。」
「わかった!ムーン・ティアラ・ブーメラン!」私は代わりにリボンを投げて、ぬいぐるみを攻撃した。
「やった!美香ちゃん、悪者をやっつけたね!」
「うん!悪者をやっつけたわ!」と私は興奮しながら言った。
「でも、また悪者が来たら大変だね。」とおばあちゃんは微笑んで言った。
「おばあちゃんと一緒なら大丈夫!」私はおばあちゃんの目を見て答えた。
その後、疲れて布団に入った私は、おばあちゃんの暖かい腕の中で小さな声で約束したんだ。
「明日も一緒に遊ぼうね。」
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